2010年03月

2010年03月31日

そんな楽な方法があるのか?

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                一律%の価格協力要請

            【そんな楽な方法があるのか?】

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 こんにちは、塩梅マンです。


 前回は、【いくらで買うのか?】の43回目でした。

 よく言われているベンチマーキングですが、理屈通りにはできないこともあり、特に化学業界では非常に無理が多いと言う現実を正直に話しました。そんな中で最重要な価格のベンチマークを現実的にどうしたら良いのかを提案しました。


 さて、今日は、【いくらで買うのか?】の44回目です。


 今日の結論は、【そんな楽な方法があるのか?です。


 いきなりの質問ですが、あなたのところではコストダウンをどのように進めていますか?


 社長の一声、「この1年間で5%コストダウンせよ!」を忠実に実行しているのでしょうか?


 はたまた、ボスの業務命令、「なっ!5%ぐらいはいくらなんでも出来るだろう。でなきゃ男じゃないぜ!」と言った調子でしょうか?


 実は、聞いたことがあります。


 「では・・・」、と言うことで次のように計画を組むのだそうです。


A)平均として5%だけど一律にはとても無理だよなあ

B)だから、効果の大きい原料には10%、並みの原料には6%、難しそうに感じる原料には3%、過去の経緯から見て殆ど無理と言う原料には1%、と分配しよう

C)これを全体計画と決めよう

D)次は具体的にどうやってやるかだが、やはり、サプライヤーに書類を送って、回答必須の条件付きで価格協力を要請しよう

E)未達になるリスクを考慮して価格協力目標値はもっと高目に設定しよう

F)そう言っても素直には応じては貰えないだろうから、この価格協力の結果は来年度の取引方針に繋がると言うことを伝わるように書面を作成しよう

G)回答結果をサプライヤー評価として整理して、来年度の付き合い方を方法付けよう


と言うわけで、サプライヤー向けの「価格協力要請書」なるものをせっせと作成するのだそうです。


 まあ、バイイングパワーを振りかざしたコストダウン戦略と言うわけですね。


 しかし、化学業界ではこんなやり方は通用しません。やはり、一般論として、売り手が圧倒的に主導している世界ですからどうしても無理があるのです。


 私も「こんな楽なやり方ができるなら是非やってみたいものだ」と思ったことがありました。事務作業だけでコストダウンが出来てしまうのですからこんな美味しい話はないです。


 では、やった結果どうだったと思いますか?

(以下に続く)
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(続きです)

 全く経験したことの無い書類に慌てたサプライヤーからひそひそと探りが飛び込んでくるのです。


「例の件、どう応じたらよいのでしょうか?マジなんでしょうか?」と顔色を伺いながら・・・。


 結論は、殆どが無回答で、残りは、ゼロ回答とお義理回答でした。ハイ。


 と言うことで、はっきり言いますが、化学業界ではこんなコストダウン戦略は成立しません。一律%のコストダウン要請などは無力なのです。


 当然と言えば当然のことですが、コストダウンは一歩一歩の努力の結果でしか達成できるものではありません。


 逆に言うと、錦の御旗や買い手側の勝手な都合で出来るほど生易しいものではないのです。


 一方、コストダウンと言えば結局は殆どの場合は購買価格を下げることでしか達成は出来ません。


 従って、「購買価格を下げるための戦略や戦術をどうすればよいのか?」を1つずつ実行するしかないのです。


● 購買戦略・コストダウン戦略をどうすべきなのか?

● 個々の原料単位でのコストダウン戦術をどうすればよいのか?


 あなたのところでは購買戦略・コストダウン戦略がどのようになっていますか?担当者が行なうコストダウン戦術だけになっていませんか?


 又、逆に、原料毎のコストダウン戦術が積み上がって組織のコストダウン目標が組み立てられているでしょうか?


 そこで、原料毎のコストダウン戦術の成功確率を決めているのが精度の高い情報類です。


 その中でも最も重要なのは、確たる証拠のある価格情報です。これがあれば行動さえすればいいだけですから。

 

 以上、今回の結論は【そんな楽な方法があるのか?】でした。


 では、今日はここまで。次回は、【いくらで買うのか?】の45回目、です。

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編集後記)

 ここのところの花冷えのお陰で、入学式が様になりそうです。因みに、明石では、早熟で木で日当たりの良い枝だけが少し開花し始めた程度です。


 さて、今回は、これ↓です。

楽天オープン戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3月10日、明石球場での楽天vs広島のオープン戦。

 例年通り、今回も日本中が異常寒波に曝された日でした。


 前半先行されたが、山崎選手のさすが4番の一振りで逆転。二転三転を続けていたが8回裏に逆転して9回を迎えました。順調、順調!

 9回表をさっさと終えてチョン。

 新外国人ピッチャーに交代してスピード(多分160キロを越えていた)に球場中が驚嘆。

 ところが一寸先は本当に分からない。

 いきなり四球の連発、たちまちノーアウト満塁。冷たい雨でスタンドは傘が開き、雨宿りの動きが始まる。「寒ーい」と言って立ち去る人々も。

 押し出しの四球で同点。やや雨脚が強くなる。

 ヒットで逆転された! 四球の連発。まだノーアウトかー?!

 スタンドの客は見る見る内に減少。

 耐え切れず、私も雨宿りに加えて傘までさす始末。ブルブル震えながら熱燗と使い捨てカイロで体温を維持。

 やっとピッチャーが交代。ヒットが続き、などなど・・・。5点ぐらいリードされたところでようやくチェンジ。やー、長かった35分。


 楽天の裏の攻撃がさっさと終わったら帰ろう。


 広島のピッチャーも替わり、9回の裏が始まる。

 あれっ?楽天の猛反撃。点差は縮まっていく。強風も加わって来て横殴りの雨。傘がジョウゴになる人も。

 アウトカウントは増えることなく土砂降りに突入。びしょぬれの中で攻防は続き・・・・。


 3分後に終了宣言。やれやれ。

 「うーん、あと2点差だったのに」と言う余韻を残しながらもスタンドからの開放感に浸る。


 「うーー寒っ!」


 翌日の新聞。


 なっ、なっ、何だって?

 8回コールドゲームで楽天の1点差勝ち、だった・・・・・・。あの9回の死闘は何だったんだ??????????


 選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。風引くなよ。新外国人ピッチャー、この程度のことでへこたれたらあかん、頑張れ!
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2010年03月15日

ベンチマーキング

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                 ベンチマーキング

              【果たして可能か?】

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 こんにちは、塩梅マンです。


 前回は、【いくらで買うのか?】の42回目でした。

 購買業務の中でややもすると現状維持の仕事ばかりになりがちかと思いますが、あなたの行動でそれを打ち破る必要性を強調させていただきました。何と言ってもこの部分こそあなたの存在価値なのですからね。


 さて、今日は、【いくらで買うのか?】の43回目です。


 今日の結論は、【果たして可能か】です。


 あなたのところではベンチマーキングと言う手法を使われたことがありますか?


 この手法は自動車や電気などの業界では半ば常識化していると聞いています。


 ところで、化学業界ではどうなんでしょうか?


 さて、では下記の項目に沿って考えてみたいと思います。


1)ベンチマーキングとは?
2)何故、ベンチマーキングが必要なのか?
3)何をベンチマーキングするのか?
4)ベンチマークの相手は?
5)ベンチマーキングはそもそも可能なことなのか?
6)では一体、どうしたら良いのか?


1)ベンチマーキングとは?:


 これは説明するまでも無いとは思いますが、

 優良な他社事例をお手本と見做して情報を収集し、あなたの会社や組織の現状と対比することで課題・問題点を明らかにする。その結果に基づいて改革をすること、です。


2)何故、ベンチマーキングが必要なのか?:


 理由は、自分のことが1番分からないことだからです。ですから、他と比べることで自分を知ろうとするためです。特によその会社を経験していない場合には自社のことが常識になっていますからね。


 そして、これが必要になる原因は、目指すべき目標や目的が明確にできないことから来ています。


 ですから、優れた他社を目標にすることで発想しやすくしようとするわけです。


 逆に言うと、確固たる目標があると言い切れる場合は不要なわけですね。

3)何をベンチマーキングするのか?:


 そこで重要なのは、先ず、これです。


 即ち、多くの経営対象の中で何をテーマにするかです。


 あなたの場合なら、恐らく、購買組織が抱えていそうなテーマと言うことになるでしょうか?


 購買組織全体とか、購買の役割の中でのどの部分か、になるでしょうか?


 但し、抽象的なテーマよりも具体的であるほど効果的になります。


4)ベンチマークの相手は?:


 次に問題になるのは、お手本の相手選びです。


 あなたの競合としてベストな相手を選ぶことがキーポイントになります。


 ここがお手頃な相手としてしまうと効果は期待薄になってしまいますから要注意です。


 ですから、最近のご時世を考慮すれば「世界一のお手本」を選ぶことが肝心と言えるでしょう。日本国内1位を目指すのでは価値がありませんから。


5)ベンチマーキングはそもそも可能なことなのか?:


 と見てきたところで今更の話になりますが、


理屈上はそうであっても現実にベンチマーキングは果たして可能なのでしょうか?


 あなたはどう思われますか?


 目的とテーマを決めるのは自分の意思だけで決まられます。


 しかし、化学業界の場合、対象はそんなに簡単に決まられるものでしょうか?

(以下に続く)
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(続きです)

 普及している自動車業界を考えて見ましょう。


 そこでは製造しているのは自動車です。排気量や車種やグレードや仕様などは多岐に亙っているでしょうが、所詮はみんな自動車です。


 ですから、この場合は、自動車会社の中で世界一のライバルを選べばお手本の対象として間違うことはあり得ません。


 では、化学業界を考えて見ましょう。


 世界屈指の総合化学会社であれば殆ど同じような化学製品を作っているので可能かも知れませんね。


 しかし、それはごく限られたメーカーだけです。


 それ以外の化学会社はそれぞれ多くの事業分野・製品の組み合せになっているメーカーが殆どです。


 ですから、お手本の会社をサッと選ぶことには無理があります。


 単純に、あなたの会社の購買部門とお手本企業の購買部門を比較しても殆ど意味が薄いのですね。


 やるとすれば、製品単位で競合会社を考えて選択していかないと上手く比較できません。


 と言うわけで、もっとテーマを絞らないと相手が決められないのです。


 例えば、ポリウレタンの世界一の会社と言うレベルに絞らないとベンチマークが上手く機能しないのです。


 又、自動車会社などに比べると、購買機能の一元管理が進化していないので、
本社購買・事業部購買・地場購買・海外現地購買などは分散している可能性も結構多いのです。


 従って、ベンチマーキング先の会社からのデータ収集も極めて困難、且つ、情報源をはっきりしないと使い物にならないことも出てきます。


 又、この手のデータは通常は調査会社に委ねることになるのですが、その情報源の信憑性も懸念されます。


 核心的なデータであるほど、情報は入手困難で、得られたとしてもその信憑性を裏付けるものがないことが多くなります。


 調査会社にその点を聞いても、「方法はヒアリングです。」と言う調子で、それ以上は企業秘密だとしてキチンとした返事は貰えないことが多いと思います。


 ですから、何となく怪しげなデータと現状を比較して課題を議論せざるを得ない面が否定できません。


 又、最近は、どの会社でもコンプライアンス強化が講じられており、昔のように調査会社がターゲット企業の社員にヒアリングしたとしても、情報が収集できるのどかな時代ではなくなっているはずです。


 そんなこんなで、ベンチマーキングが使えるのか?に関して私は懐疑的に捉えていますがあなたはいかがお感じでしょうか?


6)一体どうしたら良いのか?


 ここまで解説してくると八方塞で困惑されたのではないでしょうか?


 しかし、正直言ってこれが現実と言うものではないでしょうか?理屈は正しくても現実には実行不可能と言う面があるのではないでしょうか?


 では、ベンチマークに変わるものは果たしてないのでしょうか?


 そこで、私がお奨めしているのが「輸入価格」です。


 購買の仕事で最も重要な情報は価格情報ですから、あなたの最大の関心事は、適正価格や底値や国際価格ではありませんか?


 何故なら、購買する立場の人が自分で変えることが出来る変数は、価格と取引先の2つしかないからです。その他の変数は殆ど必然的にあなたとは無関係なところで決まっているのですから。ですから、価格こそがあなたの存在価値そのものなのではありませんか?


 それだったら、価格の厳然たるベンチマークは「輸入価格」と言う信頼性の高い実績ベースの価格情報が決め手になります。


 あなたが購買している1つ1つの原料単位で、今の価格と比較すれば、課題も問題点も一目瞭然になります。


 今後、あなたがどういう行動を起さなければならないのかが必然的に見えてくるはずです。

 以上、今回の結論は【果たして可能か?】でした。


 では、今日はここまで。次回は、【いくらで買うのか?】の44回目、です。

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編集後記)

 2010年台に突入したと思っていたら、もう桜の開花を報じられる季節になってきました。ここのところずっと暖かさが続いているので早まりそうな気がしますね。


 さて、今回は、これ↓です。

亀整列

 

 

 

 

 

 新宿中央公園での一駒。粒ぞろいの6匹が日向ぼっこです。


 大きいのも小さいのも、と言うのが普通のような気もしますが、これほどまでに粒ぞろいとはさては6つ子なのかも?


 NHKの朝ドラ「ウェルかめ」の放映も残り少なくなってきました。これでも見て思い出してください。
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Profile
塩梅マン
化学原料に限定した購買コンサルタントです。化学原料コストダウン研究所の所長です。輸入価格を知った上で購買するのが合理的購買の原点であると信じております。このノウハウで私は475億円のコストダウン実績を挙げました。これを日本中に普及させることを目指しております。私の究極の使命は日本が本当の意味で国際競争力を強化することです。コストダウン、開発購買などの成果を多くの方が実感されるのを願っております。