2009年11月
買い手が作れるのか?
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コストテーブル
【買い手が作れるのか?】
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こんにちは、塩梅マンです。
前回は、【いくらで買うのか?】の35回目でした。
適正価格には大きく分けて2つがあることを解説しました。あなたが欲しいのはどちらなのかを見失わないようにお気を付けくださいね。
さて、今日は、【いくらで買うのか?】の36回目です。
今日の結論は、【買い手が作れるのか?】です。
今まで「価格」に関して36回書いてきました。
何故、そうまでして価格に拘るのか?
それは、購買する場合の最も重要なマターだからです。購買能力が問われるマターなのです。
そして、その理由は、売り手と買い手のベクトルが逆方向になっている唯一の事項だからでしたね。
又、価格を、コスト・適正利潤・売値と言う視点で述べてきました。
それでは、コストの拠り所となるコストテーブルを果たして買い手が作れるのか?について考えて見ましょう。
売り手側は、社内の製造部門や経理部門からデータを収集すればコストテーブルは容易に作成できてしまいます。
コストテーブルに必要な実際のデータを沢山持っているから猫でも出来る訳です。
ところが、買い手であるあなたがコストテーブルを作成しようと思った時、大きな壁にぶち当たりませんか?
理屈上は、
これこれこうやればコストテーブルは、ほれ、出来るでしょう!
となってしまうのですが、コストの構成要素と各要素の現実のデータがなければ不可能と気付くはずです。
では、設計・製造に関する情報を殆ど持たないあなたが自力でコストテーブルを作成するのはどうしたらよいのでしょうか?
尚、ここで「自力で」と条件をつけたのは、買い手からそれを得ようとしても妥当なものは手に入るはずがないからです。何故なら、どうしても情報提供者の意図が紛れ込んでしまうのが現実だからです。
「コストテーブルの作成が出来なければ購買マンとは言えない」とまで常識化している業界の購買ですら、このことは悩ましい面を含んでいます。
形式上は作れても、その妥当性には常に疑問符が付きまとうからで、従って、仮説と言う表現でその難しさを弁解せざるを得ない苦しさもあるのです。
しかし、これは化学の業界でも状況は同じようなものです。
ですから、やはり妥当性の高いコストテーブルの作成が求められています。(もっとも、作成すらしない購買マンが圧倒的に多いのが実態なのですが・・・)
では、どうすればよいのでしょうか?
(以下に続く)
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(続きです)
そのキーポイントは2つ、1)主変動費の原単位2)コストを算出する時に使うことになる単価の精度、です。
以下、少し解説してみましょう。
1)主変動費の原単位
ご存知の通りコストは固定費と変動費から構成されています。前者は化学製品毎に異なると言うよりも業種などの影響が大きい要素です。後者は化学製品毎に全く変わる性格のものです。
従って、個々の原料の価格をイメージするために注力しなければならないのは後者の変動費の方です。(固定費の部分は後述します。)
そして、その中で主要な部分は主変動費となります。
変動費の中には、その他に細々した要素もありますが、化学の場合それらのコストは概して小さいので主変動費で殆どを掴んだことになります。
又、主変動費以外の細々したコストは製造者でなければ分からない微妙な部分が多く、なにせこの部分は製造者毎ですら違いがあるものが多いこともあります。ですから、これらを買い手が追い求めていくことは永久の不明に足を突っ込むようなことになりかねないので諦めることが賢明と言えます。
と言うことで、主変動費を把握することに焦点を合わせることになって来ます。
そこで、化学業界に特有な化学反応を伴う生産であれば原単位と言う概念を使う必要性が出てきます。
要するに、1kgの化学製品(買い手からすれば化学原料)を製造するためにどのような原料(これを便宜上上流原料と称することにします)を何kg必要とするか?を求めることです。
そうすることで、各上流原料のコストが分かり、その総和が目的の化学製品のコスト(主変動費)になります。
今回の結論は【買い手が作れるのか?】でした。
では、今日はここまで。次回は、【いくらで買うのか?】の37回目、です。
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編集後記)
紅葉真っ盛りでもう少し楽しめそうな季節になっていますね。と言っている内に、最後の月を迎えました。華やかなクリスマスのイルミネーションに見とれている内に正月が来てしまわないように充実した1ケ月にしましょう。
さて、今回は、これ↓です。
なんじゃこりゃ?
最近では生け花に使われたりするそうで、花屋にあることに納得。
マジックインキさえあれば、個人差もなく、子供でも、キツネの完成間違いなし。
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どちらが欲しい?
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2つの適正価格
【どちらが欲しい?】
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こんにちは、塩梅マンです。
前回は、【いくらで買うのか?】の34回目でした。
「輸入価格を調査する時の注意点」について解説しました。大怪我をしないように用心しましょう。
さて、今日は、【いくらで買うのか?】の35回目です。
今日の結論は、【どちらが欲しい?】です。
さて、今まで、機会あるごとに購買する場合の適正価格の重要性を書いてきました。
そこで、問題の適正価格、です。
実は適正価格には2つあることを知っていますか?
「えっ、ただ1つのものではなかったのですか?」
「いやいや、購買量によって変わってくるから無数にあるはず!」
あなたのお考えは、どちらに近いでしょうか?
2つの適正価格とは、
1)売る側が抱いている適正価格
2)買い手が期待している適正価格
の2つがあるのです。
1)とは、コスト+売り手が期待する利潤、のことです。売り手が言う適正価格です。
2)は、コスト+売り手の事業が継続できるための適正利潤、のことです。買い手が言う適正価格です。
ですから、両者は一致することは滅多にありません。
売り手が期待する利潤と言うのは多いほどよいと思うことが多い訳ですから、
結局、
1)>=2)
と言う関係になっているものなのです。
=の意味は、最も上手に購買できた場合、と言うことです。
(以下に続く)
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(続きです)
ですから、『営業マンの口から出る適正価格』と言う言葉に惑わされてはいけませんね。
「どちらの適正価格のことなのか?」を忘れてはならないのです。
一方、
「購買量によって変わる性格のものだから適正価格は無数にある」と言う考えについて少し考えてみましょう。
この論理は、売り手が専ら用いることで、少量の購買なら高く売りたいと言う意思を示したものです。
勿論、物流コストや管理コストなど少量のために余計に掛かる費用の発生を否定しているものではありませんが、所詮、それらは細かい価格差を生むだけのものです。
従って、少量の購買であると言うことが大きな価格差を生むはずはないのです。
しかし、現実には、「購買量が少ないので」と言って結構大きな価格差をあなたは要求されているのが実態だったりしますね。
これは、正に論理を超える価格政策の話です。
従って、購買する側のあなたはこのロジックを認めてはならないのです。
購買量により適正価格が無数に発生すると言うのは元来あり得ず、それは単なる売り手側の価格政策に過ぎないと言う認識に立つ必要があります。
ですから、要するに、適正価格は2つしかないと考えるのが合理的な捉え方です。
適正価格についてスッキリしましたか?
今回の結論は【どちらが欲しい?】でした。
では、今日はここまで。次回は、【いくらで買うのか?】の36回目、です。
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編集後記)
10月の快適な陽気から一転して、変化の激しい天候に悩まされていますね。寒暖の差も大きくなったためか、何年ぶりかで風邪の1週間を送っていました。諺にも例外はあるようで・・・。トホホ。
さて、今回は、これ↓です。
どこでも見かけるお馴染みの花。
次々と咲いていくところからニチニチ草となったとか。
人間を長いことやっていると、時間のスピードがどんどん増して来たように感じます。毎日、毎日を充実して過ごしたいものですね。
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