2009年07月

2009年07月15日

競争見積とは何か?

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              競争見積とは何か?

           【競争になっていますか?】

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 こんにちは、塩梅マンです。


 前回は、【いくらで買うのか?】の26回目でした。

 草食系購買マンと肉食系購買マンの違いを考えてみました。そして、仕事をするからには肉食系にチャレンジして欲しいと解説しました。心は固まりましたでしょうか?

 

 さて、今日は、【いくらで買うのか?】の27回目です。

 

 今日の結論は、【競争になっていますか】です。


 突然の質問ですが、あなたの職場では、競争見積をやっていますか?


 いわゆる、相見積と言うものです。


 政府系の調達で随意契約が非難の的に挙がっていますが、民間企業でも1社だけの見積で事を進めるのは何かと問題になるのではありませんか?


 「競争見積ぐらいせよ!」と言われるでしょう。


 その意味するところは、

見積を2社以上から取ることで、価格の妥当性を検証しようとするものですね。

 

 談合やカルテルなど売り手同士の協調がなければ、競争見積をすれば各社各様の見積が出されてくるはずです。


 ですから、その違いをいいとこ取りすればほぼ妥当な価格が見えてくると言うものです。


 逆に言うと、


競争見積でほぼ似たり寄ったりの価格が提示されるようなら、その辺りが妥当な価格と言ってよいのではないか?


 と考えるわけですよね。


 そして、安価な方の見積を採用すれば、売り手を上手く選定したと社内的に主張できるわけです。


 あなたのところでは、このような理屈が常識化していませんでしょうか?


 実に分かりやすいものです。

 

 ところが、これには実は大きな錯覚があるのです。


 では、それは一体何なのでしょうか?

(以下に続く)
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(続きです)

 それは、この理屈が、見積を貰う側の勝手な思い込みになっていると言うことです。


 即ち、見積を作る側の状況が見通せていないのです。


 上述したところに大きな大前提がありましたよね。


 そうです。


 「談合やカルテルなどがなければ・・・」と言う大前提のことです。


 ところが、現実には、この前提が成立しないことが非常に多いのです。


 即ち、違法ではないのですが、談合やカルテルなどが実質的に潜在していることが多いのです。


 ですから、競争見積をしても大差のないものが集まるメカニズムが働いています。


 見積差が発生するのはちょっとした売り手側の意欲の差であり、「何とか売り込みたい」と思う売り手なら少し安目の見積を出してくるのです。果たしてこれは妥当な価格と言えるのでしょうか?


 又、もう1つの競争見積の外乱は、当て馬です。


 競争見積と言うのは原則的にはその中から選別するための手続きになっているのですから、これに漏れてしまう売り手からすれば、折角の見積が徒労に過ぎないと言うリスクを伴っているわけです。


 従って、「どうせ、当て馬に過ぎない見積を要求されている」と思われる状況下では、真剣な見積は書かないのです。適当な見積を出すだけなのです。


 ですから、競争見積を社内ルールにしている購買部門は外からはそのように見透かされていることがあるのです。


 その典型は、「どうせあの会社は、過去の経験から言って、競合の●●社を選定するに決まっている。」と陰で言われている場合です。


 いろんな売り手に参入のチャンスを与える開かれた会社であるとの姿勢が広く売り手側に伝わっていないならば、このような恐ろしい現実があることを忘れてはなりませんね。


 では、このような大前提を確保するための有効策は何でしょうか?


 その1つの答えは、「海外から見積を取る」ことです。


 即ち、広く世界に門戸を広げて競争見積をすることです。


 そうすれば、談合やカルテルなどの懸念が大幅に解消されます。何故なら、これらは日本国内同士に根付いている風土だからです。


 因みに、海外は自由競争の原理が根本になっており、独禁法への厳しい罰則も適用されている世界です。談合やカルテルなどが生まれにくい状況が厳然とあるのです。


 そうすることで初めて、競争見積の合理性が実現できるようになります。その結果、価格の妥当性が追求できることに繋がります。


 くれぐれも、日本国内での競争見積の中で誤判断にならないようお気をつけくださいね。


 今日の結論は、【競争になっていますか】でした。

 

 では、今日はここまで。次回は、【いくらで買うのか?】の28回目、です。

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編集後記)

 ようやく本格的な梅雨空が続くようになって来ましたね。元来水の少ないこの地(明石)は池が多いことでも有名なのですが、ナミナミと満水になってきましたので今年の夏も無事に乗り切れそうです。


 さて、今回は、これ↓です。

300蝉と殻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この地に住み着いて約25年になるのですが、この光景に出くわしたのは初めてです。と言うよりも生まれた直後を見ること自体初体験です。


 我が家の前のお地蔵さんの横でたまたま見かけてびっくりするやら、嬉しいやら。


 殻を脱ぎ捨ててまだ少ししか経っていない様子で、羽が整うのをジッっと待ち続けているようです。


 身じろぎ1つしないのでまるで標本そっくりですが、まだ伸びる前のハネだと分かりますよね。


 ワシワシワシワシとせわしく鳴き捲くる本格的な夏がもう足元に来ているのです。


 でもちょっと早すぎじゃないですかー?

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Profile
塩梅マン
化学原料に限定した購買コンサルタントです。化学原料コストダウン研究所の所長です。輸入価格を知った上で購買するのが合理的購買の原点であると信じております。このノウハウで私は475億円のコストダウン実績を挙げました。これを日本中に普及させることを目指しております。私の究極の使命は日本が本当の意味で国際競争力を強化することです。コストダウン、開発購買などの成果を多くの方が実感されるのを願っております。